国情院、対共政策室が去り、国益戦略室浮上
週間朝鮮2003.05.22. 1754号
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■既習破壊等、組織・人的改革着手、国内外経済情報強化・・・既存の対北政策は維持する模様
国情院に改革の爆風が急きまくっている。高栄九院長・ソ・ドンマン企調室長体制が震源地である改革爆風の指向点は、明らかに見られる。過去、「政権安保」に力を注いできた政治色を果敢に捨て、特定地域人士が要職を独占してきた地域偏重人事を是正するのである。「脱政治、脱湖南」の風である。
更に国情院は、高栄九院長任命に反発したハンナラ党が国情院解体と海外情報処新設法案を推進しており、盧武鉉大統領も、最近、民主党指導部と会い、国情院の根本的改革に対する「真摯な検討」を注文、与野合意で国情院改革案論議が行われていることに従い、更に威力的な改革後、爆風を受ける公算も広がった。急激な変化の渦の中に巻き込まれた国情院職員は、近頃、「何がどうなっているのやら」とし、落ち着かない雰囲気である。
5月9日、高栄九院長が盧武鉉大統領に報告して確定した国情院組織改編案中、最も視線を引き付けるのは、国情院の中枢組織だった対共政策室の廃止と国益戦略室の新設である。
国内情報を担当してきた2次長傘下の対共政策室(対政室)は、過去、最高権力者の目と耳の役割を果たしてきた組織である。政治・経済・社会・機関・地域・新聞・放送・安保課等で構成され、政党・国会(政治課)、大企業金融機関及び経済傘下団体(経済課)、宗教・市民・労働団体と学園(社会課)、政府部署(機関課)、自治体(地域課)、軍(安保課)等、国情のほぼ全分野において情報収集・分析業務を行ってきた。情報収集要員数だけで、300余名であり、情報分析業務を担当する内部人力まで含めれば、全体人員が600余名に及ぶ膨大な組織だった。
このような対政室の強大な機能は、今回の組織改編で事実上消えるというのが、国情院側の説明である。国情院は、報道資料を通して、「過去、議論されていた対共政策室を廃止する等、大々的な組織改編を断行、有休人力を海外情報及び外事・防諜分野の機能強化等に投入し、新たな情報需要に対応する情報業務の開拓のため再配置する」とし、「国家安保と関連がない査察性情報収集業務と政府部署・マスコミ等に対する定例的・常時的出入慣行を廃止する」と明らかにした。
しかし、国情院は、対政室要員の担当機関の定例・常時出入慣行をなくしても、基本的な情報収集機能は残す方針を考慮中であるという。これと関連して、国情院は、報道資料において、「機関間の同等な協力関係に基礎を置いて、(情報)収集活動を遂行するようにした」と明らかにした。対政室という名前を「情報判断局」等、別の名称に置き換える話も出てきている。しかし、国情院のある関係者は、「まだ、細部的な組織改編方針は確定されてなかった」とし、「対政室機能が完全に廃止されることの可否は、もう少し見守らなければならないだろう」と語った。
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■外事・防諜分野も戦力補強
今回の組織改編において、対政室の廃止が過去の否定的なイメージを捨てるための作業とすれば、国情院の新しい姿は、新設される国益戦略室が主導する展望である。1次長(海外情報担当)傘下に新設される国益戦略室は、既存の対政室傘下組織だった経済団が主軸となる組織で、国内外経済情報を総括する役割を負う。過去、経済団の場合、大企業役員の動向と政治資金等、政治色の濃い経済情報収集に力を注いできたが、国益戦略室は、企業活動と経済に助けとなる純粋な経済情報を担当するものである。過去、海外経済情報を収集してきた1次長傘下組織と接木するのも、このような背景のためだという説明である。
国情院のある関係者は、「イラク戦後復旧事業と関連し、我が企業が海外企業と競争できる戦略的情報を与え、国益次元において、企業間の交通整理の役割を負うことが、国益戦略室が今後担当する役割の一例となり得る」とし、「国益戦略室要員は、全て日刊紙の経済部記者のマインドを備えなければならないだろう」と語った。
対政室の廃止、国益戦略室の新設と共に目に付く変化は、外事・防諜業務を担当してきた2次長傘下の防諜局の機能と役割が広がることである。過去、対政室に押され、別待遇を受けることができなかった防諜局は、今後対政室に代わって、2次長傘下中枢組織に浮上する展望である。防諜局の役割は、国内に入って来ている各種外国人関連犯罪を摘発し、関連情報を収集する任務。外国大使館とマスコミが主カバー対象だった。しかし、防諜局は、対政室の有休人力を受け入れ、既存の組織が大幅に補強、過去、人力が及ばず、大きく神経を使えなかった東欧・中東等、辺境国の大使館や国内に進出した外国企業と関連団体も、全てカバーする展望である。
防諜局には、去る大選期間、盗聴疑惑で物議をかもして解体された8局人力も大挙吸収されている。
(チョン・チャンヨル週間朝鮮記者jrchung@chosun.com)
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最終更新日:2004/03/19